Written by Ryuji Otaki
「SAKEと汁物は合わない」
と、前回の記事で書きましたが、それについて当店のお客さまからクレームをいただいてしまいました。
「いや、スープでSAKEを飲めるよ、合うよ!」
そう思う人は多いだろうと思い、今回の記事を書きました。
「おいしさ」に貪欲な日本人は、お酒のおいしい飲み方を発見するのが上手。
たとえば、カレーソースも立派なアテになるんです。
日本ではカレーはごはんと一緒に食べる「カレーライス」が定番。にもかかわらず、居酒屋に行くと、カレーライスは取り扱っていないのに「カレーソース」というメニューがリストに並んでいることがあるほど。
私が以前「SAKEと汁物は合わない」と書いたのは、あくまでも「和食のコース料理」の汁物とSAKEの存在意義がかぶります、という意味でした。
いずれにしても、
かつて、ラーメンとSAKEを合わせる風習はありませんでした。
ところがここ数年、当店のようなラーメン店でSAKEを販売するお店が増えてきている背景には、
ラーメンという食べ物が多様化していること、
そして造りの多様化により、SAKEの味もまた多様化していることが関係しています。
さらに言いますと、日本では冷蔵輸送手段や酒販店のSAKEの保管方法の徹底が、そうした多様化に拍車をかけています。
たとえばひと昔前、「生酒」は地元での消費が中心で、全国に流通するのはごく一部の商品のみでした。ほとんどが火入れのSAKEだったのです。
火入れのSAKEは一般的に”落ち着いている”のが特徴。香りも味も穏やかなものが多いです。
一方の生酒はフレッシュさが特徴。香りが華やかで、味もフルーティーなものが多いです。
輸送手段や保管方法の進化がSAKEの多様化を可能にし、SAKEの多様化がペアリングの多様化を可能にした。
それが、当店のように、SAKEを提供するラーメン店が増えている理由だと私は思います。
日本国外では、冷蔵輸送手段が限られていることから、まだまだ生酒を飲めるエリアは少ないと聞きます。
日本には、あなたの国では想像できないほど多種多様なSAKEがあります。もし日本に遊びに来る機会がございましたら(お仕事でもいいですが(笑))、生酒と火入れのSAKEをぜひ飲み比べてみてください。