SAKE Meets RAMEN!
Ep.1「アメリカと私のお店はつながっている!?」

Written by Ryuji Otaki

私が営んでいる東京のラーメン店「拉麺5510」は、日本の人々から「変わっている」と言われることがあります。なぜなら、SAKEをたくさん扱っているからです。

アメリカでラーメンは人気な日本料理のひとつであり、日本の伝統的なお酒であるSAKEがラーメン店のメニューに並んでいると聞きますが、日本のラーメン店ではほとんどSAKEを飲むことはありません。日本人にとって、ラーメンはカジュアルな食べ物。それに対して、SAKEはフォーマルなイメージが強い飲み物。ですので、ラーメンとSAKEの組み合わせは、あまり一般的には見られません。

また、日本では汁物とSAKEを合わせて飲むことはほとんどありません。「割烹」などの伝統的な日本の食事で食べられる汁物は「吸い物」と呼ばれ、飲み物と同じく、次の料理をいただく前に、口の中に残っている料理の味をリセットするための「お口直し」として出されてきました。こうした背景もあり、日本の多くの人々は、汁物と飲み物をペアリングするという発想にはなかなかたどり着かないのです。

ではなぜ、私はラーメン店なのにSAKEを提供しているのか? ……これはまた次回以降にお話したいと思います。


ところで、最近の日本ではどのようなシチュエーションでSAKEが飲まれていると思いますか?
和食のコースと合わせて?
寿司と合わせて?
いえ、違います。
今、東京でトレンドのSAKEの飲み方は、「立ち飲み」なんです。


フォーマルな場で飲むイメージの強いSAKEは、日本料理店で椅子や畳にきちんと座って飲むのが一般的でした。アメリカではバーなどでお酒を立って飲むことがよくあるかもしれませんが、まさに、それのSAKEバージョンが流行しているのです。
造り手やお米、酵母の種類、製造方法などによってまったく違う味わいになるSAKEは、バリエーションが豊富。近年は発泡からドライとスイート、ビター、フルーティーまで、さまざまな種類が増えてきています。少量ずつ飲み比べ、まるでカクテルのような豊富な味の違いを体感するのには、かしこまった雰囲気の本格日本料理店よりも、スタンディングバーのようなスタイルがぴったりなのです。


軽いおつまみと共にSAKEを楽しむ、それが、日本の最新のスタイルです。

もともと日本では高級といいますか、値段の高い飲み物というイメージのあったSAKEですが(輸入コストが加算されるアメリカでも、SAKEは高級という印象が強いかもしれませんが……。実際、日本ではアメリカで売られている半分ほどの価格でSAKEを購入することができるんです!)、徐々に気軽に楽しめるものになってきてるというのが日本でのSAKEの現状です。
この調子でいけば、日本ではカジュアルとされるラーメン店でSAKEが飲まれるのが当たり前になる未来が来るかもしれません。今のアメリカ、そして私のラーメン店は、実はSAKEの楽しみ方の最先端を行っているのかもしれませんよ!

拉麺5510


+ 東京都江東区大島5-5-10
+ 火〜土 11:30am-2:30pm、6:00pm-9:30pm
+ 日・祝 11:30am-3:00pm(食材が切れ次第終了)
※月曜定休