SAKEDELIC!! 〜SAKEと音楽のペアリング〜
Part 1:秋田酒編

音楽があれば、SAKEはもっとおいしくなる!
秋田県の酒屋さん・TKCが、あのお酒にぴったりの音楽ペアリングを提案。
第1弾は、最近話題の“秋田酒”のペアリング3セットをお届けします!

Written by TKC

Ⅰ. Beautiful View 千代緑 純米大吟醸 SP × 「カーサ・サンセット」by Takase Tsukamoto

「千代緑」で知られる大仙市の奥田酒造は、原料の大部分に県内産米、酵母に蔵付き分離酵母「MS3」、秋田酵母「NO.12」等を使用するなど、徹底して秋田産SAKEを追求する蔵元さん。
「素材の味を活かす」をコンセプトにした酵母シリーズの中でも、「SP」は華やかな香りが特徴の「こまち酵母スペシャル」を使用。SAKEらしい旨味もありつつ、ビギナーにもおすすめできる軽快な飲み口が優しくSAKEの世界に連れて行ってくれる。
加圧せずに自然に滴り落ちた酒を詰めた無加圧甕口バージョンもあり、その違いを楽しむのも一興!

これにペアリングしたいアーティストは、秋田県出身、黄金の歌声を持つソウル・シンガーTakase Tsukamoto
国際教養大学でブラック・ミュージックの歴史を学ぶ一環としてゴスペルに出逢い、歌う喜びとソウルミュージックに目覚めた彼。単身ニューヨークで修行し、本場で磨かれたバイブスは間違いなし! 帰国・上京後は、ルーツ・ミュージック(土地や人々、文化に密着した音楽ジャンル)をさらに追求し、オリジナル曲をバンドスタイルやソロで表現している。

「カーサ・サンセット」はOvallのギタリスト・関口シンゴ等豪華アーティストを迎えたアルバム「GOLD」の中の一曲。美しさの中に切ない情景が思い浮かぶチューン。

洗練された美しさの奥に、いい意味で田舎っぽく泥臭いストレートなソウルを感じさせれくれる組み合わせ。MVに流れる秋田のゆったりした情景と、スムースでチルなお酒の味わいが日々のあれこれをいっさいがっさい流し去ってくれる。
まさにBeautiful View。

Ⅱ. その衝撃、ビッグバン 秀吉 龍蟠(りゅうばん)純米生原酒 山田錦 × 「Over and Over and Over」by Jack White

「秀よし」でおなじみ大仙市の鈴木酒造は、長い歴史を持ちつつも、ラベルがスーパーかわいいスパークリング日本酒「LA CHANTE」等、新たなフィールドに挑戦し続ける蔵元さん。
 「龍蟠(りゅうばん)」シリーズはSAKEらしいどっしり感を前面に出しつつ「今」の味覚にも合うポストモダンなテイストのブランド。中でも渋い紫色のラベルが特徴的なこのSAKEは、秋田での栽培が難しい王道酒米・山田錦を贅沢に使用。山田錦らしいパワフルさはそのままに、秋田のSAKE特有のスパッとしたキレが絶妙なバランスを生んでいる。クールで口数は少ないが義理に堅く、背中でかっこよさを魅せてくれる、そんなSAKE。キンと冷やしてグラスで飲みたい。
個人的にもお気に入りで常に冷蔵庫に入っているお酒のうちの一本。

これにペアリングしたいアーティストは、ザ・ロックミュージシャンJack White。The White Stripesのボーカリスト・ギタリストとして知られ、計12回のグラミー賞受賞歴を持つ彼は、エッジの効いた特徴的なサウンドでロックファン魅了し続けている。
「Over and Over and Over」はソロ名義3枚目のアルバム「Boarding House Reach」に収録されている。ファズのガンガンに効いたギターとキャッチーなリフが全編にわたってリフレインされるロックごった煮サウンド。脳が沸騰するような一曲。

「龍蟠」とこの曲は、ぶれない強さがぶつかり合う、横綱同士の取り組みのようなペアリング。その衝撃はビッグバン。モダンなロックサウンドで熱々になった体を、パワフルでシャープなお酒の味わいが冷やしてくれ、さらに燃料を与えてくれる。大音量で音楽をかけ、真夏に汗をかきながら飲みたい。繰り返し、繰り返し、繰り返し(Over and Over and Over)、終着点が見えないままついつい飲み過ぎてしまう危険な組み合わせだ。

Ⅲ. 日曜の晴れた朝に ─ 秋田晴 A(エース) 赤 × 「Tiny Dancer」by Chara

「酔楽天」、「秋田晴」など幅広いラインナップを掲げる秋田市の秋田酒造。A(エース)はAkitabare Another Advance(秋田晴 これまでとは違う 新たな前進)をテーマにした新ブランド。中でも赤は「甘酸っぱいデザート」をテーマにしている。初恋の甘酸っぱさ、というよりは、半同棲して最初は楽しかったけど、最近楽しさと義務感のバランス感覚が難しくなってきたな、的なビターな印象も兼ね備えている。

自身が主演を務めた映画「スワロウテイル」(1996年)の主題歌「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」で一躍名を馳せたChara。現在もジャンルに囚われず、かつ自身の自由かつ芯のあるKAWAIIテイストを貫き続ける。

「Tiny Dancer」は、豪華アーティストを迎えたアルバム「Sympathy」の一曲。邦ロック界のアンセム「東京」 で有名なロックバンド「くるり」の岸田繁が楽曲を提供。甘いだけじゃなく、大人なほろ苦さも持ち合わせた、恋愛にとどまらない人生への讃歌。

「秋田晴 A 赤」とこの曲は、大人の割り切れない色んな感情をぐちゃぐちゃに混ぜてコーヒーフィルターにかけたような組み合わせ。いつもより少し遅く起きた朝、散歩がてら酒屋に出向き、今日はリッチに冒険してみよう! なんて気分で普段買わないSAKEを買う。昼飯はお惣菜で済ませるか、とスーパーに寄って自分では作らない茶色い食べ物を買い帰路につく。家に着き、BGM程度のボリュームで音楽をかけ、意気揚々と買ってきたものをそのままテーブルに広げる。チルな気分でお酒を一口。異世界にFly Away。気づいたら夕方になってて、明日も頑張ろう、って自分の顔を前を向かせてくれる。
やさしい気持ちへの重力、そんなペアリングを楽しんでほしい。