Sake Legends in Japan

Ep.1 命を焦がすSAKE店「革命君」

Written by Keita Okubo

はじめまして、ライターの大久保です。この度本メディアで記事を書かせていただくにあたり、まずは多くのSAKE好きに知ってほしい「日本でも稀有な存在であるSAKE仙人」といえる、すごい人を紹介していければと思います。

1回目は、命をかけてSAKEの普及を目指す、たったひとりの「酒販店」の方です。

「人生をかけて、SAKEのためにできることをしたい」

大病をわずらい長い闘病生活を送るも、自身の人生を築いた「SAKE」に恩返ししたいと、たったひとりで地酒専門店をひらいた齋藤哲雄さん。

SAKE「愛」しか感じない斎藤さんの酒屋「革命君」がこの度、移転・リニューアルをしたと噂を聞き、久々にお邪魔してきました。

 

小さな酒蔵応援団・革命君

 

齋藤さんは東京・四ツ谷の超有名酒販店出身。人気銘柄「射美」を発掘した人物としても知られています。2010年に大病を患い闘病生活を送り、2014年に「革命君」を開業。治療と並行してできる範囲とあり、会員制の発送販売がメインでした。

東京・小岩。商店街に移転したお店がこちら。

以前は完全にアパートの1室(3坪)だったので「(すごく真っ当な)お店になっている!」と驚きました。

真っ赤な暖簾。かっこいいです。

こちらが店主の齋藤さん。お久しぶりです。左目はほぼ見えず、右目の視力も落ちているとか。虫眼鏡を使ってお酒の情報を読んでいます。

 

革命君は、とにかくお酒について「熱い」

「革命君」は「小さな酒蔵応援団」を標榜しており、齋藤さんとつながりのある酒蔵から直接仕入れたお酒だけを販売しています。そのため取扱蔵数自体はすくないのですが、一つひとつの濃度がすごい。「これどんなお酒ですか?」と聞くと、お酒の味やスペックはもちろん(いや、むしろこれはおまけ)、蔵の人たちはどのようなチームなのか、なぜ自分の店で販売しているのかまで、熱く熱く、深く深く教えていただけます。

1本に対してあまりに時間を割いて話してくれるので、正直「商売大丈夫かな…」と心配になるほどです。

革命君といえば、「射美」。

年間生産量わずか50石(一升瓶5000本※2019年)という日本最小クラスの家族蔵・杉原酒造が醸す超人気ブランド。齋藤さんは廃業寸前だった蔵に足を運び、なんども意見交換したそう。新ブランドの名付けに携わり、東京でのブームを起こしたのが、齋藤さん張本人です。

店内の冷蔵庫には見えませんでしたが、店の奥から取り出してきてくれました。稀少な銘柄とあり、転売や買い占めを防ぐため、人気すぎるお酒はあえて隠しているのだそうです。

「常連だから、一見さんだから、というわけではありませんよ。父の日のプレゼントや友人の快気祝いなどに飲ませてあげたいという相談を受けることはありますし、そんなときはもちろんお出しします」

続いてもう1本、「僕の秘蔵っ子です」として紹介していただいたのが福島県・佐藤酒造の「三春 五万石」。

「こちらも本当に小さな蔵なのですが、ここ数年、若手が主体になって新しいお酒造りに取り組んでいます。試飲会で出会い、これは『原石』だと直感しました」

それから齋藤さんは蔵を訪れ、酒販店の視点からアドバイスを送るなどサポートしたとか。今年、質が格段に上がったといいます。

「三春は甘みが本当にやさしくて上品なんですよ。スーっとひろがり、きれていく。美味しくてするすると飲めてしまうお酒です」。

そんなことを言われたら、絶対に飲みたくなります。もちろん持ち帰りました。

 

革命君が語る、「酒屋」としての責任

大人気の銘柄「花陽浴」がずらり! しかしこの棚はすべて「予約済み」。転売防止のため、購入できるお酒は別の場所に保管しています。

「一部のブランドだけに人気が集まるというのは、僕ら酒屋の責任もあると思うのです。今は特定のお酒に人気が集中してしまうから、飲食店もどうしてもブランドに頼らなければいけません。だけど本当は『うちの料理にはこのお酒の味があう、だから無名だろうと応援する』というふうになっていってほしいし、そうなる手伝いをしたいです」

革命君の販売のメインは会員制の発送。そう聞くと「オンラインショップ」を思い浮かべますが「買う人が見えないのは怖いので」と、あくまでも「信頼できる会員」に限定し、オンラインは連絡手段に使っているそう。

「基本は会員のみなさん、一見さんでもちゃんと対話できる人。必要としている人に必要なお酒を届けたいので、このスタイルを守っていきます」

 

会話を重ねるほど買いたくなる。酒屋の「正しさ」を感じる店

 

レジも買ったんですよー(以前はなかった)! と話し、価格表をみる齋藤さん。視力が落ちており、虫眼鏡で価格を確認しています。

ふと、冷蔵庫に並んでいた「不老泉」が目に入り、会計をしつつ話題に。個人的に好きなお酒だと伝えると、「それなら、すごいものがあります!」と、店の奥からBY21(平成21年酒造年度)の熟成酒を取り出してきてくれました。

「いまは亡き前杜氏の遺作。これはもう、蔵にも残っていないお酒です!」

もちろん、買いました。齋藤さんのお話を聞いていると、どのお酒も買いたくなってしまいます。

なぜ、ここではそれほど買いたくなるのだろうと考えると、やはり齋藤さんの「熱」

の為す業だと思います。そしてそれが、酒販店の正義なのではと、門外漢ながら感じるのです。

安い店もいいし、品数が豊富な店もいい、年中無休の店もいい。

でも、SAKEは「人」から買いたいと思うのです。

僕がこころより尊敬する酒屋さんの1つ、革命君。

もし初めて訪れるなら、下記にご注意を。

・事前にメールなどで営業状況を確認してください。

・基本的に日本語のみです。

 

齋藤さんから、世界のSAKE好きへの質問

 

記事の公開に快くご承諾いただいた齋藤さんより、世界のSAKEに精通する皆様へ質問を受け取りました。

「5大シャトーやロマネコンティなどは、世界ではどのように流通(取り扱い)されているのでしょうか?

日本では特別なお店、一見さん御断りのような方法で出されていることもありますが、世界ではどうなのかと気になっています。 今、これから進む道に迷う日本の酒蔵さんも多くいらっしゃいますので、みなさまのブランディングの役に立つのではとおもい質問させていただきました」

日本国内の蔵の多くは今、世界に向けていかに発信していくか、苦心をしています。

ぜひ、ご意見くださいませ。※また、ライターの大久保は「酒だけ」のブログも公開しています。日本語のみですが、ぜひお越しください。