Sake 101
Ep.4「SAKEに合うおつまみの選び方を教えて!

SAKEビギナーのAyaとTomokoがSAKEを楽しむためのノウハウを、利酒師Sakiから伝授してもらう『SAKE 101』第4回。

利酒師Sakiの教えによって、だんだんとSAKEの魅力がわかってきた二人。
食いしん坊のTomokoはSAKEだけじゃなく、一緒に食事も満喫したくて……。

Edited by TOMOKO
取材協力:地酒みゆきや


ビールには餃子、赤ワインにはチーズ、マッコリにはチヂミ……。
あっ、ハイボールと唐揚げもおいしいよなぁ……。ブツブツ……。



Tomokoさん、何ブツブツ言ってるの? 怖いよ……。


Ayaさん、重大な問題です!
Ayaさんはいつもお酒を飲むとき、何と一緒に飲んでますか?


えっ? 特に意識したことはないけど……。基本的におつまみって食べないんだよね。
特にSAKEを飲むときはSAKEの味をもっと知りたくて、SAKEだけで楽しんじゃってるなぁ。



えーーーーー! そんな! まさか! 人生損してますよ!!



何? そんなおおごと??


そうですよ! キンキンに冷えたビールと餃子、ハイボールに唐揚げ……
仕事終わりの一杯をさらにおいしくしてくれる、黄金のコンビネーションじゃないですか!



そういえばそうだね~。


そんな、クールに……(涙)
せっかくSAKEについて学んで、おいしいSAKEを飲むんですよ! おいしいごはんと一緒に飲まなきゃ損ですよ~。



Tomokoさん、食いしん坊……。



なんですって~!!



まあまあ、二人とも落ち着いて。



落ち着いてないのはTomokoさんだけです。



確かに(笑)


え~。Sakiさんまでひどい~。
おいしいSAKEにもきっと「ビールと餃子」みたいなベストな組み合わせがあると思うんです~。


そうだね。日本人の主食である米からできているSAKEは、最高の食中酒。
お酒と料理の相性を考えながら食事とお酒を楽しむことを、「ペアリング」というんだけど、SAKEにもさまざまな「ペアリング」が存在するんだよ。



ペアリング??



ペアリングと一口にいっても、組み合わせはいろいろあって、大きく分けると下の5つになるかな。

 ①似たものどうしで相性がよい
 ②甘みやコクを引き出す
 ③悪いところを消す
 ④新たな味わいを生み出す
 ⑤口の中をウォッシュする



具体的にはどういうSAKEと料理の組み合わせなんですか?



①の似たものどうしで相性がよい組み合わせは、燗をした濁り酒とホワイトソースや、古酒と燻製料理かな。


グラタンと濁り酒、スモークサーモンと古酒が合うってことですか?
グラタンとSAKEを合わせるなんて考えてみたことなかったけど、確かに似てるかも!


②の甘みやコクを引き出すパターンは、たとえばSAKEを飲んで甘みが少ないと感じられたら、塩をペロッと舐めてからもう一度SAKEを飲んでみて。SAKEの隠れていた甘みが引き出されておいしく感じられることがあるんだよ。



スイカに塩をかけると甘く感じられるのを思い出しました。


そういうこと。塩をそのまま舐めるのではなく、塩味の濃い料理と合わせるのもいいね。
③の悪いところを消す組み合わせは、酸味の強いSAKEと刺身などの生魚を合わせることで、刺身の生臭さをマスキングすることができるの。


すごい~。
刺身の生臭さが苦手な人もSAKEと一緒に食べればおいしく食べられるんですね。


うーん、でもSAKEと刺身って合うって前にも聞いたことあるんですけど、わたしがSAKEと刺身を一緒に食べたときは、逆に生臭く感じちゃって「合う」なんて思えなかったけどな~(疑いの目)


Ayaさん鋭い!
SAKEと刺身を一緒に食べるときに、逆に生臭さが助長されてしまうことがあるんだよね~。詳細なメカニズムはわかっていないんだけど……。



やっぱり、SAKEはSAKEだけで飲んだほうがいいんじゃ……。


待って、待って。えーと、少し難しい話になっちゃうんだけど……。
理科の授業で、酸とアルカリを合わせると中和されるって習ったこと、あるよね? そもそも、SAKEと刺し身の相性がよいとされているのは、SAKEの酸性の性質が、生臭さの原因となるアルカリ性のトリメチルアミンを中和して消すと言われているからなんだけど……。



中和して消したはずなのに、生臭くなっちゃうことがあるんですか?


不思議だよね。まだ解明されてはいないんだけど、香りが華やかで酸の少ないSAKEに起こりやすい傾向があって、香り成分やイソアミル、カプロン酸と反応しているのではないかと言われているんだよ。



カタカナいっぱいで難しい~(涙)


そうだね(笑) 。
覚えてほしいのは原因や成分名じゃなくて、刺身と一緒に飲むSAKEの選び方として、香りが華やかすぎず、ある程度、酸もしっかりしている純米酒を選んでほしいということ。そういうSAKEのほうが、生臭さが気にならなくなる可能性が高いよ。



生魚を調理したまな板を酢で洗うと臭みが取れるのと同じ感じですね。


そうそう!
お湯で洗うとさらに落ちがよくなるのと同様に、お燗にするとさらに生臭さが気にならなくなるから、試してみて。



飲み始めてから、生臭くなっちゃう組み合わせだって気づいた場合はどうしたらいいですか?



そんなときは、そのSAKEに柑橘系の果汁を落としてみると生臭さが緩和されるはず!



④の新たな味わいを生み出すっていうのはどういうことですか?


例えば、骨太で辛口のSAKEにチョコレートを合わせるとウイスキーやブランデーのような味わいになるの!
そして最後、⑤の口の中をウォッシュする組み合わせは、例えば酸味や辛味の強いSAKEと揚げ物。揚げ物の油をSAKEがスッキリ流してくれるよ。



ただ「合う」と言っても、いろいろな種類があるんですね!


組み合わせを考えて、料理やSAKEをチョイスするのもSAKEの楽しみ方のひとつだよ。
具体的に、どんなSAKEを組み合わせたらいいか気になる食べ物はある?


はいは~い!
先日、友人と和風イタリアンのお店でバーニャカウダを食べたんですけど、そのとき一緒にに飲んだSAKEはまったりと甘さが口に残って、おいしく感じられませんでした。「和風」だからSAKEとも合うのかな~と思ったんですが……。


いくら和風と言っても、バーニャカウダって「ザ・イタリアン」な料理だから、SAKEと合わせるのはやっぱり難しいんじゃないですか~?



ふふ。どうかな~。バーニャカウダの特徴はニンニクだよね。



ニンニクは刺激も強いし、クセもあるからSAKEが負けちゃいそう。


そうだね。
ニンニクは、酸味や穏やかなビター感があるSAKE、「老ね香」と呼ばれるオフフレーバーのあるSAKEと相性がいいよ。



クセがあるもの同士ってことですか?


そういうこと!
旨味がしっかりとしていて、酸味がきちんとある純米酒や、ちょっと時間が経って、熟成香とビター感の出てきたSAKEを合わせると、料理とSAKEの両方がおいしくなるよ。



そのまま飲むと微妙な味わいに感じられるSAKEが、バーニャカウダに合わせることでおいしくなるってことですか! すごい!


あとは、白いご飯のような骨太なタイプの純米酒も無難かな。
反対に、バーニャカウダに合わないのは、キレイな香り系のSAKE。パステルカラーに黒の絵の具を混ぜるようなものだし、ニンニクはにおいが強いから、香りも喧嘩しちゃう。


なるほど。実は……。
口の中でSAKEの味わいと料理の味わいが混ざってしまう感覚が苦手なんですよね。そんなわたしでも、SAKEと料理のペアリング楽しめますか?


もちろん!
さっき挙げたペアリングの組み合わせ方の⑤のように、口の中をウォッシュする効果のあるSAKEと料理の組み合わせだったら、Ayaさんも試しやすいんじゃないかな。



え、でも、ウォッシュ=洗い流すってことなら、水で十分じゃないですか?


そんなことはありません! SAKEで口をウォッシュすることと、水で口をウォッシュすることは違うの。ウォッシュ効果のあるSAKEは水だけでは取り除けない後味を洗い流してくれるし、程よい余韻を残してくれることもあるんだ。



酸味やアルコール感で口の中をリフレッシュするって、単に水で洗い流すよりも効果がありそうですね。


そうそう。わかってきたね。
ペアリングの5つの組み合わせを頭に入れて、SAKEや料理をチョイスすれば、今まで苦手だったSAKEや料理がおいしく感じられたり、好きだったSAKEや料理がさらにおいしく感じられたりする。
ぜひ、自分の好みの組み合わせを探してみてね!



は~い! ますますおいしいものが増えて困っちゃいそう~。



やっぱりただの食いしん坊……。

●○まとめ○●

・ペアリングには5つの組み合わせ方法がある。
 ①似たものどうしで相性がよい
 ②甘みやコクを引き出す
 ③悪いところを消す
 ④新たな味わいを生み出す
 ⑤口の中をウォッシュする
・単品では苦手な味でも、料理と組み合わせることでおいしく感じられるSAKEもある。
・ペアリングによるSAKEと料理の相乗効果を楽しもう。