SAKEを知りたきゃココへ行け!:
Ep 2. 足立市場の「武寿司」で昼から「寿司」で「SAKE」を!
大人になってよかった

Written by Keita Okubo

年末年始なので、「お寿司屋さん」について書きます。

先に言いますが、お寿司にぜんぜん詳しくないです。走りも名残もよくわからないし、なんなら魚の名前もあまりわからない初心者レベル。

それでも堂々と紹介できるのは「おいしいお店の人に教えてもらったから」です。そして素人ながら、満足度がすごいためです。

武寿司


東京都足立区千住橋戸町50
京成本線千住大橋駅から徒歩5分

足立大橋「武寿司」を紹介したい3つの理由

① 教えてくれたのは「大塚 はなおか」さん
SAKEを主役にすえたペアリングコースの先駆けといえる名店です。そのご主人に「飲食店の人たちが通っているすごい店」と聞いて行きました。

② 市場の寿司!豊洲じゃない方
武寿司があるのは足立市場内。築地でも豊洲でもない、東京にあるもうひとつの市場です。なのでネタの鮮度は折り紙付き。なのに観光地化されていないという奇跡的な存在です。

③SAKEがすごい!
では、①大塚のはなおかさんにどう紹介してもらったかというと「SAKEを楽しむ最高のお店」です。「寿司」特集ではなく「SAKE特集」として教えてもらったのです。

武寿司は僕にとって「寿司とSAKEという、豪華すぎてなかなかチャレンジできない組み合わせを堪能できる」場所です。他の寿司屋とくらべたことはないのですが。

行くなら要予約。平日の昼間に!

お昼の足立市場。今日のお仕事を終えたためか、ガランとしています。市場内のお店は数軒だけ。(ここの定食屋さんもおいしそう!)

武寿司の外観です。一見、ぜんぜん賑わっていないように思えますが、予約必須の人気店です(ふらっといってもなかなか入れない)。週末は結構先まで予約で埋まっています。

なので、平日昼間がおすすめ。
「有給とって昼から寿司で飲む」という、設定の時点で「大人になってよかった」という夢を半分くらい叶えてくれます。

カウンターでつまむ贅沢

SAKEは古きよきもっきりスタイル。表面張力を愛でます。

武寿司では常時20種類ほどそのときのお酒を扱っています。SAKEのメニューはなく、大将におまかせです。まずは鳩正宗(鳩正宗酒造@青森)の純米吟醸。

「ここの白子はまったく臭みがなくておいしい!」と常連の老夫婦の助言をもと白子を注文。

泣きそうなほどおいしい。そしてSAKEがすすみます。

「酒飲むなら、つまみは高級じゃなくていいんだよ。今日のホッキのヒモは酒がすすむぜ」(常連のおじさん)
「高くないんだけどよ、作るの結構手間かかるからあんま言わないでくれよ」(大将)

という会話を聞いて「ほっきのひも」。ほどよい歯応えと、半生のジューシーさがたまらない。炙っているため香りと塩気が立ち、いいつまみになります。

ここまででもう、本当に満足です。

大将のSAKE談義が楽しい

SAKEにこだわるお寿司屋さんとあって、大将のSAKE愛あふれる話を聞くのもここの魅力です。

2杯目は「酔鯨」(酔鯨酒造@高知)。ドライでキレがよい、料理によりそう系のお酒です。

「酔鯨は高知のお酒。土佐藩の山内容堂ゆらいのお酒だね。大酒飲みだったそうです」と大将。その話から、新撰組のことや近く(足立区)のことなどなど、お酒を起点に小気味よい会話が続きます。

これは「お酒を好きそうな人にだすサービス」という塩辛。お寿司屋さんの塩辛って、もうSAKEのためにあるようなものです。

「〆張鶴 純」(宮尾酒造@新潟)。つまみに寄り添う、縁の下の力持ち的な味わい。

お酒を注文すると、大将は少し思案し、「◯◯飲んだことありますか?」と聞いてきます。それに対して「ない」というとニヤリ。企み顔でお酒を出してくれます(このお酒は◯◯◯の◯◯なんですよ)。

このやりとりが楽しい。

「お酒を選ぶのは、やっぱり難しい。嗜好品だからね。セブンスターが好きな人がいればピースが好きな人もいるのと同じ。その人がどれくらいSAKEを飲んできたかによっても変わりますからね」とのこと。

このほか、常連さんを中心にいろいろな会話が板の上を行き交います。その端々から、控え目ながらも、寿司とお酒に対するこだわりがうかがえます。

「うちは冷酒だけ。いいSAKEって冷酒です」
「ここは、いろいろな寿司屋をいってきた人が通う店なんです」など。

それに対して常連の人たちもウンウンと楽しそうにお酒を飲む。
この、大将とお客さんがつくる寿司屋の空気が、またおいしい。

特上にぎり(おまかせ)で締める

お寿司屋さんの空気を満喫したところで、ようやく握りへ。
寿司の知識も写真力もないため、さらーっといきます。

なんて口溶けだ。

とにかくおいしい。ネタがすごい。口の中でほぐれるシャリとの一体感がおいしい。そして余韻の残るところにSAKEが流れ込むと、旨味と甘味が加わりまた別のおいしさになる。

寿司とSAKEって、すごい!
大将のいうとおり、寿司にはキュッと冷たいお酒が合います。完璧です。

満腹で外にでると、まだ昼。これもまたいい。

ほろよいの帰り道、満足度が高すぎて、世界のあらゆるもの(海、大地、地球)への感謝の気持ちが止まりません。

大人になって(そしてこういうところにいけるおっさんになって)よかったです。

ごちそうさまでした。武寿司、おすすめです。