「オンラインSAKE飲み会」 全力レポート(参加者の感想付)。
SAKEは国境も立場も越える!

Written by Keita Okubo

今、「飲みに行く」という行動が困難になってきています。
たしかに不要不急ではない。けどお酒を飲みたい、飲み交わして笑いたい……。そんな鬱憤をはらすべく、SNS上で繋がるSAKE好きたちによる「オンラインのSAKE飲み会」が開催されました。

主宰はサンフランシスコ(2020.04時点外出禁止令施行中)を拠点に活動するSAKEジャーナリストのSaki Kimuraさんです。

 日本酒系オンライン酒場
 ■日時:3月29日(日):17:00〜(日本時間)
 ■参加方法:Zoomによるビデオ通話
 ■お酒・つまみ:各自、自由に日本酒(系)とつまみを用意

「オンライン」は「飲み会」でも通用するのか? 参加してみると「対面の代替」だと思っていたオンライン独自の魅力が数多く見えてきました。

【準備】応援したい飲み屋さんでテイクアウト

飲食店さん、特に夜の飲み屋さんは本当に大変です。そんななか「テイクアウト」に取り組むお店も出てきています。

そもそも飲みにいけないから企画された飲み会、おつまみにふさわしいのは「行きたいけど、今は行けない好きな飲み屋さんのテイクアウト」だと思います。

南阿佐ヶ谷にあるSAKEと創作料理のお店「さん七」さんに聞いたところテイクアウト対応をはじめたそう。さっそく買いにいきました。

(はじめて昼間にきました。ガランとしています)

(ボケすぎてすみません…)

ここでは「だし巻き玉子」「いぶりがっこチーズ」「すき焼きコロッケ」の3品をテイクアウト。ご主人、大切にいただきます。応援しています!

※本日のテイクアウトメニューはお店のTwitterより!

おつまみをもって帰宅…というところで、足が止まりました。

つらいなー。
創業20年の中華料理店。今回の影響で閉店を決めたそうです。

店仕舞いの「最後の惣菜」を購入。大切に、大切に味わせていただきます。

お酒はこちら。左が乾杯用にと用意した微発泡酒「しゅわっと空」千代むすび酒造@鳥取)。右が「笑亀 直汲み」笑亀酒造@長野)。これで挑みます。

酒器は形状別に4つ。冷から熱燗まで、飲みたいときすぐに動けるよう準備。

スタンバイ完了です。

正直、買いすぎました。でもいいんです、今日は家だから残しても明日食べられるので。

定刻17:00、オンライン飲み会スタートです。

乾杯! 普段会えない多彩なメンバーが集まった!

定刻、zoomに入室…少し緊張します。「えっと?」「あれ?」とか、音声がポツリポツリ。慣れていないためか、集合にやや時間がかかります。(僕も普段使っているイヤホンがipad対応していないことをこの瞬間知りました)

実は、この日の参加者で「知り合い(顔見知り)」なのは一部。半数以上が「はじめまして」。なんて声をかければいいか一瞬探り合いのような状態になります(オンラインに限らないことですが)。

ゆるゆるとスタートメンバーが揃った(途中入場・退席OK)ところで、画面越しに乾杯です!

(発泡が強くて溢れそうになり、開栓に手間取る。ちょっと待って……)

(乾杯!よろしくおねがいします!)

初対面の方も多いこともあり、はじめに全員で自己紹介。すると、揃った参加者の多彩さに驚きました。

 参加者(一部)
 ・サンフランシスコ在住のSAKEジャーナリスト
 ・ベトナムでSAKEを作っている酒造(フエフーズ)の蔵元
 ・国内大手酒造の蔵人
 ・大手酒造アメリカ法人の蔵人
 ・アメリカのSAKE専門店マネージャー
 ・フランス在住の飲食店経営者、一児のママ
 ・大学生(20歳)
 ・SAKEメーカーのアンバサダー
 ・地酒専門店勤務・SAKEメディア編集
 ・おじさん(私)

と、普通ならまず接点を持てないような国・業界・業種の人たちがずらり。国や年齢差、時差を超えて集まっていたのです。

これは、オンライン飲み会という企画だからこそ得られたメリットのひとつだと思います。

(自己紹介と今日のお酒コーナー)

みんな自分の持ってきたお酒を紹介。「自分で作ったお酒」とか、「海外で作られているSAKE」とか、ひととおりチョイスを聞くだけで面白いです。

(自分のお酒を紹介している様子。画面の手前にいると同時に、他のメンバーと同じ分割画面にいることが、当たり前だけど不思議な感じです)

オンライン飲み会では「話すきっかけ」が大切

(画面下中央のような「変装」もありです)

自己紹介でアイスブレイク…となるかと思ったのですが、オンラインとあってか、最初は方の会話はポツリ、ポツリ。なかなか発言もしづらいものです。

今回はあらかじめ「トークテーマ」(SAKEにまつわる失敗とか、変な飲み方とか…)が設定されていました。すると、最初は「順番」にしゃべっていた参加者もだんだんと「同じテーブルにいる」ような感じになっていき、会話が弾みはじめます。

主催のSakiさんがぐいぐいファシリテーションしてくれましが、オンラインの場合「話しはじめる」きっかけが大切のようです。

実は、リアル以上に「話しやすい」かもしれない?

(犬!!!)

最初の緊張感がなくなれば、あとはSAKE好き同士、自然と盛り上がります。特にペットとお子さんの声はキラーコンテンツ。場がいっきに和みます。

また、今回は英語も飛び交うグローバル飲み会。「日本語得意ではないから変なこというかも…」という人がいたところ、一斉に「大丈夫!みんな酔って変なこというから!」との声。

たまに、飲み会のときに端でポツンとなってしまう人がいると思うのですが、オンラインの場合全員の顔が見える(ある意味全員が正面の席)ので、リアル以上に相手のことを見て、話しかけやすいのかもしれません。

「家」だから、どんどんお酒が進む、どんどん出てくる

(オンラインは同時に話すとどうしても聞きにくいのですが、チャットを組み合わせると普段話しているようなテンポに近づきます)

この日は海外を拠点にするメンバーも多かったことから、話題は「世界でのSAKE事情」が中心。

 たとえば
 ・海外の人は「生酒」の扱いを恐れてる?(日本語でしか説明してない)。
 ・Sake bomb(ビールの上にSAKEをおいてのむ、アメリカの罰ゲーム的なSAKEの飲み方)は今や昔。
 ・パリの人はSAKEが好き、というか最近「飲み方」が周知されてきた。

そのほか、SAKEの飲み方や、どの蔵の取り組みがすごいなど、コロナのことをいっとき忘れ、楽しい話を聞かせていただきました。

「濁り酒って、管理難しいですよね。古くなると茶色?になる」の話題がでたところ…SAKEメディア編集の人が「あ、うちにあるので出します」と、奥へ(画面では消えていきます)。

(いろいろ説明いただきましたが、残念ながら覚えてません。飲んでみたい)

こちらは、「塩でSAKEを飲むのが好き」という方が見せてくれた自慢の塩コレクション。

これも、リアルにはないオンラインの楽しみ。
飲みの席でよくある「あー、その話のやつ、うちにあるんだよー」で残念がることがないのです。だって家だからすぐ出せるから。

話の流れで、どんどんどんどん、みんないろいろなお酒とつまみを投入します。


……ふと、気づきました。
酔ってきている。気がつけば冷酒から熱燗に変え、3時間くらい飲んでる。

リアルのお店だと「すみませーん!」というオーダーの行動があるので、ある程度みんなペースが同じになりますが、家だと関係なし。飲みたいと思った瞬間にもう飲めるので、気がつけばするすると普段の飲み会以上に飲んでしまっています。

オンライン飲み会、なかなか危険です。

途中で寝ちゃってもいい!「家」だから

(結構な人が消えたことも)

世の中のお酒の席の大半がそうであるように、酔うほど自由になっていきます。なにかの用事にふらっと立つ、というのも、オンライン(家)ならでは。

(中央、寝落ちをとらえました)
17時開始の20時。アメリカの参加者は午前2時。眠くなるのも当然です。いつ途中退席していいのもオンライン飲み会です。

(参加者のスクショからいただきました。皿を洗う私です)

4時間経過。このあたりで僕は、離脱してキッチン(翌日のお弁当作り)に。

だけど、デバイスを持っていき近くに置いておく(ミュート)と、飲み会のようすを引き続き聞くことができます。ラジオみたい。

酒場にひとりで行って、周囲の声を聞くともなく聞きながら、ガヤガヤの中で飲む、あの感じに近いです。

【参加者の声】オンライン飲み会、ここが良かった、悪かった

(何回乾杯しただろうか)

開始から5時間、もはやよく覚えていないけど、終わりました。楽しかった。

ここから、参加者の感想を紹介します。オンライン飲み会予定の方、ぜひ。

 【よかった点】 
 ・普通なら会えない距離の人とも会える
 ・大人数の参加だと話す相手が限られてしまうように思うが(2、3人ずつのグループに分かれちゃう)、一人ひとりと満遍なく話せるのがよかった
 ・子連れで参加できる!(泣いてもミュートにすればOK)
 ・ミュート等のシステムがあるので、普通の飲み会より気楽
 ・写真などを大画面で共有できるのは強み
 ・一緒に飲む人の家庭の様子(お子様、ペットなど)も少し見えて楽しい
 ・自由に離席できる(リアルでの飲みより気を遣わずにできる)
 ・テーマがあったので話始めから話題があって良い
 ・チャットと発言の使い分けも楽しい(サブトピックをチャットでしたり)

 【改善点】
 ・Zoomの同時画面表示が9人までで、全員集まってからは全員の顔が常時見られなかった
 ・話をする・聞くに特化しているので、とかく飲み過ぎる
 ・テーマを決めて話す事はできるが、想定外の何かを生み出すことが難しい
 ・パソコンから出た音が重なったり、生活音によって話者の声が聞き取りづらいということがあったので、基本はイヤホンをつけるのがいいかも。後半は発言しないとき積極的にマイクオフにしてくださるメンバーが多くて問題なかった
 ・ついつい声が大きくなってしまうので、集合住宅では注意が必要
 ・飲みすぎる。終了時刻か、中締め時刻を決めておくといいのかも
 ・みんなが飲み食いしているものがわかるとより嬉しい。チャット欄に画像もあげられるようなら、なるべくあげていくルールにしても良いかも
 ・(後日談)二日酔いメンバーが多かった

また、みんなで乾杯しましょう

(祭りの後)

オンライン飲み会、楽しかったです。

また、飲みましょう。

次は、みんなの好きなお店に集まって。