SAKE DAY’19イベントレポート
〜アメリカSAKEファンに圧倒された夜〜

Written by Yoko

I was completely overwhelmed by their enthusiasm.

“their” = 「彼ら」とは誰か?
それは、SAKE DAY’19の会場に来ていたアメリカのSAKEファンたちです。

「え…すごい…!」

SAKE DAYの会場に足を踏み入れた瞬間、私は会場全体に充満している熱気にノックアウトされ、しばし、その場に呆然と立ち尽くしてしましました。目の前に広がっている光景は、私の想像していたそれとは大きな、大きなギャップがあったのです。

海外で行われるSAKE のイベントなど、正直そんなに盛り上がらないだろうと予想していました。というのも、ナパやソノマに代表されるように、カリフォルニアはワインで有名な場所。日系のスーパーでは、それなりにSAKEの取り扱いはあるものの、ローカルスーパーでは完全にワイン、ビール、スピリッツが主流であるため、SAKEのイベントが盛り上がるというイメージを持てなかったのです。

ところがどうでしょう! SAKE DAY ’19の会場のこの熱気。アメリカのSAKEファンたちの発する熱に、私は完全に打ちのめされてしまいました。あぁ、英語の”enthusiasm”= 「熱狂」とはこういうことを言うのだと、その単語の意味を初めて肌で感じるようでした。2019年9月28日(土)、SAKE DAY ’19の会場は、まさに「熱狂」に包まれていたのです。

SAKE DAYはどんなイベント?

SAKE DAYとは、10月1日の「日本酒の日」を祝うためにアメリカ初のSAKE専門店であるTrue Sakeが主催するSAKEの一般向けイベントで、2019年の今年が第14回目、来年は第15回目のアニバーサリーを迎えます。

第14回目の今回は9月28日(土)午後4時〜8時に、サンフランシスコのジャパンタウン近くにあるホテルカブキで開催されました。

地元サンフランシスコからのみならず、東海岸などの遠方からはるばるやって来る来場者もいるほどの人気イベント。

チケット制(当日券90ドル、前売り80ドル、早割70ドル)で、当日、会場受付で受け取るブックレットとおちょこを片手に、3つの会場にある酒をテイスティングしてまわります。ブックレットにはすべてのベンダーおよび銘柄、値段、そして容量が記載されたリストが載っており、テイスティングしながら気に入ったもの、買いたいものを記録できるようになっています。気に入ったものは当日その場で注文し、後日自宅まで配送してもらえるというシステムです。

SAKEファンは、当日その場でいろいろな銘柄のSAKEを楽しめるだけでなく、気に入ったものを後日自宅でも味わうことができ、酒造メーカーやインポーター、ディストリビューターはSAKEファンに直接自分の商品の魅力をアピールし、生の反応を受け取ることができる。飲み手と売り手、双方にとってウィンウィンな場となっています。

アメリカのSAKEファンは日本人よりも真面目⁉︎

私がこれまでに参加したことのある唯一のSAKEのイベントは、十数年前に参加した広島県西条の酒まつり(SakeTips!にもHanakoさんがレポートを寄稿していました)。SAKE DAY同様に全国のいろいろな種類のSAKEを楽しめるイベントなのですが、来場者の多くは「楽しく飲んで酔っ払う」ことが目的であるような印象を受けた記憶があります。実際、泥酔して道路脇に横たわっている人を見かけました。

一方、SAKE DAYに参加していたアメリカのSAKEファンたちは、SAKEを飲んでいる時やベンダーの話を聞いている時の表情がとても真剣。自分にとってのお気に入りやベストなSAKEを見つけようと、ベンダーの話に熱心に耳を傾け、鼻で香りを楽しみ、そして口に含んで味わう。感覚を研ぎ澄まし真剣にSAKEを楽しんでいる姿からは、SAKEファンのみなさんのSAKEに対するリスペクトが感じられ、日本人としてとてもうれしく、誇らしく感じました。

一方で、この事実は、アメリカにおいては、SAKEはまだまだメジャーなアルコールではなく、貴重なものであり、我々日本人にとってのSAKEとは異なる存在であるということを反映しているのかもしれません。

SAKE DAY は、SAKEの無限大の可能性を教えてくれた

SAKE DAYの感想をひと言で言うなら、冒頭の一文に書いた通り、ともかく「来場者の熱狂に圧倒された」!

SAKE DAYに来ていた人たちは、アメリカの中でも一部のかなりコアなSAKEファンの人たちだと思うのですが、あの熱狂があの会場だけにとどまらず、アメリカ全体ひいては世界の他の場所にも波及していけば、きっとすごく楽しいだろうな、いろいろな場所で、あんな風に真剣に、でも楽しく笑顔でSAKEが楽しまれたら嬉しいな、というワクワクする気持ちを与えてくれるイベントでした。

そして個人的に、SAKEに詳しい人は外国人であっても、SAKE初心者の私よりもよほどSAKEに詳しいという事実を突きつけられたイベントでもあったので、SAKE好きな外国人と一緒にSAKEを楽しみ、SAKEトークを繰り広げられるよう、もっとSAKEに詳しくなり、楽しめるようになりたいと思いを新たにしました。

熱気と希望にあふれたSAKE DAY。きっともっと盛り上がること間違いなしの2020年9月26日(土)のSAKE DAY ’20に、みなさんもぜひ参加してみませんか?