Written by Hanako
毎年10月第2土・日曜の2日間にわたって広島県東広島市西条町の西条中央公園と西条酒蔵通りを中心にして行われる「酒まつり」。
西条は7つの酒蔵がすべて徒歩でまわることができるほど密集している珍しい地域。「酒まつり」は普段は開放していない酒蔵をオープンし、有料試飲やこの日しか販売しない限定商品が出回る。それぞれの酒蔵をSAKE片手に歩きまわりつつ、美味しい食事をしたり、催し物を楽しんだりできる大きなイベントだ。
2018年度は、10月6日(土)、10月7日(日)に開催され、私は6日に足を運んだ。
6日は台風が近づいていることもあり、ぎりぎりまで開催が危ぶまれていたが、何とか避けたため、当日を晴れで迎えることができた。
しかしながら、風が強かったこともあり、この日全国から集まった地酒が約1000銘柄飲み比べできる有料ブース(要入場券)「酒ひろば」は中止になっていた。
もう一つ開催が危ぶまれていた理由に、2018年7月の西日本豪雨の影響がある。
広島ー西条間のJRは長らく運休していた。
たくさんの人の力添えもあり、9月半ば、西条駅までは無事復旧し、たくさんのお客さんが西条の地に降り立つことが可能になった。
10:30頃
酒まつりのメインは各酒蔵の有料試飲だ。
私は「山陽鶴」からスタート。
グレードに合わせて値段も異なり、100円から飲むことができる。量としては1杯60ml(1合の3分の1)程度。
まずは純米吟醸ひやおろしを1杯購入した。
酒まつり限定というから、手をのばさずにはいられない。まだ暑さも残るこの日には、爽やかなひやおろしがぴったりだ。
ところで、酒まつりには名物「美酒鍋」を提供しているお店がある。どこも要予約制だが、運よく山陽鶴は当日予約の受付も可能だったので、早速お昼時に予約をしてここを後にした。
<酒まつりを楽しむためのポイント1>
大人数でまわるとたくさんの酒が楽しめる
1杯あたりの量は決まっているため、たくさんの種類を飲もうとすると、それだけ大量に飲まなければならない。つまり、2人以上でまわる方が、少しずつ分け合いながら、同じ酒造のたくさんの種類のSAKEを飲むことができる。今回私は6人でまわったのだが、同じ酒造でそれぞれが違う種類のSAKEを購入し、分け合って飲んだ。
お酒の違いがよくわからない……という方はこういう時に飲み比べてみると違いがわかるかもしれない。
続いて白牡丹酒造。
白牡丹は振る舞い酒が用意されていた。
純米にごり酒
甘酒のようなこっくりとした味わいだった。
かなりの量をそそいでくれていた。
普段は開放していない蔵を通ると、酒粕や甘酒が販売されていた。
なんと新酒の酒粕が200円と破格のお値段で販売されていたので、思わず買ってしまった。
先へ進むと有料試飲コーナーが。
素敵な瓶に入っていて高級感がある雰囲気だった。
酒まつり限定のレストランやラーメン屋さんもオープンしていた。
<酒祭りを楽しむためのポイント2>
★空のペットボトルや水筒を持参すること
酒蔵ごとに井戸水がわいており、水をくむことができる。
酒を飲むごとにきちんと水分補給をしよう。
個人差はあるが、酔いのまわりも緩やかになり、まつりを十二分に楽しめる。
この井戸水は仕込み水なのだが、すべての蔵の流水源は同じ。しかし、仕込み水の味は同じではないのが不思議だ。SAKEも楽しみつつ、各蔵の仕込み水の違いも感じてみてはどうだろう。
その後、福美人酒造へ向かう道すがら、酒造ごとの飲み比べができる「地酒飲み比べセット」に手を伸ばした(3杯500円)。
この時点で12:00。お昼をめがけてかなりの人が集まっており、あちこちで行列がみられ、完売する商品も出ていた。
<酒祭りを楽しむためのポイント3>
★赤い服では目立たない
1日で12万人(2018年度報告)も訪れるこのイベント。
年々来場者が増えているそうだ。
今年もカープが優勝し、街はかなりの盛り上がりを見せている。
迷子にならないよう、見つけやすいように赤色など暖色の目立つ格好してくる方もいるがカープ色が赤色なので、その色の服を着た方は大勢いるので、避けた方がよい。
さて、山陽鶴に戻って美酒鍋を堪能する時間になった。
美酒鍋とは、豚肉、鳥砂肝、帆立やはまぐり、白身魚お野菜を
酒、塩、コショウだけで味付けたシンプルな鍋(2~3000円程度)。
山陽鶴では1合瓶がセットになっていた。
出来上がった鍋は魚介とお肉の良い出汁が出ていて、日本酒がすすむ美味しさ。
〆は麺だ。
アルコール感はほとんど感じなかった。
お腹も満たされて14:00には終了。
スタート時間は早い方がスムーズに回れるので、10時台を狙っていくのがおすすめ。
午前中から思う存分酒を楽しむことができて、優雅な大人のまつりだと感じる。
気に入った酒はもちろん購入が可能で、配送も蔵によってはその場で受け付けているので、遠方から来ても安心して楽しむことができる。
駅に降り立ち、徒歩5分で様々な酒蔵が並び、酒を知り、堪能することができる西条の街。この街の魅力をぎゅっと凝縮した「酒まつり」に参加するため、SAKE好きさんは毎年10月の第2土・日曜の予定は空けておくべきではないだろうか。
<酒祭りを楽しむためのポイント4>
東広島市には酒類に関する研究を行う、「酒類総合研究所」がある。
酒まつり会場の目と鼻の先にある「東広島市芸術文化ホールくらら」では酒類総合研究所の展示ブースが設置されている。美味しいお酒を造るための材料やその説明が詳しく聞ける貴重な場。担当者の方もかなり専門性を持ち合わせた方ばかりなので、酒を飲むだけではなく、知識として楽しみたい方にはおすすめ。