Drinker’s Note
夏を彩る『太平山 夏純米』、心が寛ぐ『Peaceful Mountain 純米酒』
──小玉醸造株式会社

Written by Mayuko

うだるような暑さが続いていた、八月上旬の日本。

アメリカから一時帰国していた私は、秋田県の潟上(かたがみ)市にある、小玉醸造株式会社さんを訪れていました。


小玉醸造さんを知ったのは今年の頭と最近なのですが、蔵見学ツアーなるものが開催されていると耳にして、SAKE初心者の私は一時帰国のタイミングで参加必須といわんばかりにそのツアーに申し込んだのです。

余談ですが、私の様にSAKEの入り口に立ったばかり……という方には、漫画『夏子の酒』がおすすめです。以前レビューにも書いた通り、SAKEのあれこれを楽しく学ぶことができます。


さて、本題に戻りますが、その小玉醸造さんで出合った、涼しげな印象の『太平山 夏純米』(夏限定)と、見た目からはワインをも思わせる『Peaceful Mountain 純米酒』。繊細でお洒落なラベルに目を引かれました。


蔵見学ツアー中、社員の方が「飲みなれていない人の方が、お酒の味の違いに敏感だったりする」とおっしゃっていたことを思い出し、「これは、自分のことでは……」と考えた私は、折角なので飲み比べをしてみることに。

参考までに、商品の詳細な情報は、以下をご覧下さい。

『太平山 夏純米』
● 精米歩合:59%
● 原料米:美山錦100%
● アルコール度数:15度

『Peaceful Mountain 純米酒』
● 精米歩合:60%
● 原料米:秋田酒こまち100%
● アルコール度数:15度



冷蔵庫で一晩冷やして、夕食時に頂きました。

まず、『太平山 夏純米』を飲んで驚いたのは、その飲み口。とてもさらっとしていて、ベタつきが全くありません。『Peaceful Mountain 純米酒』にも同じことが言えますが、どちらも、一口目が良い意味で軽い。

お酒を飲んだ時に、口や鼻の中で広がるアルコールのツンとした刺激……私はあの刺激がどうしても好きになれないのですが、『太平山 夏純米』と『Peaceful Mountain 純米酒』は、違和感なくスッと舌に馴染んでいく感覚があります。余韻がいつまでも口の中に残らないので、自然と二口目に手が伸びるのです。

『太平山 夏純米』は、ほんのりと甘さを感じる程度。『Peaceful Mountain 純米酒』は、前者よりも甘みを強く感じますが、それでも甘さ控えめと言えます。


『太平山 夏純米』は、本当にすっきりとしていて雑味がないので、「食事と合わせる飲み物は水が一番!」な私でも、抵抗なく食卓に並べることが出来ました。
対して、『Peaceful Mountain 純米酒』は、軽やかな口当たりの中にまろやかなコクがあるので、飲めば飲むほどに味わいが増します。


所感として、『太平山 夏純米』は、


● SAKEに苦手意識があり、手が伸びない
● 兎に角、すっきりそしてさっぱりとした口当たりが好み
● シンプルな味わいをストレートに楽しみたい


こんな方におすすめ。


『Peaceful Mountain 純米酒』は、

● SAKEに苦手意識があり、手が伸びない
● 口当たりはあくまでも軽めのものが好みだが、ほのかな余韻やコクは欲しい
● 味や香りの変化を楽しみたい



こんな方におすすめ。



今回は『太平山 夏純米』と『Peaceful Mountain 純米酒』のレビューでしたが、小玉醸造さんは、SAKEだけではなく、味噌、焼酎、甘酒、その他にも様々な商品を製造・販売されています(甘酒プリンが一押し)。

商品一つ一つの質の高さもさることながら、個人的には、蔵見学の際にお会いした社長や社長の奥様、そして社員の方々の人柄がとても印象に残っています。

皆さん、熱心に諸案内をして下さるのですが、口調は柔らかく温かみがあり、常にどこか控えめ。
作り手の素敵な一面が見えた後はお酒も食事も益々美味しくなるもので、『太平山 夏純米』と『Peaceful Mountain 純米酒』が食卓に並んだ夜は会話にも花が咲きました。


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『太平山 夏純米』と『Peaceful Mountain 純米酒』は、「おいしい!」というシンプルな感動、モノ造りの背景に凛然と存在する歴史や人への尊敬の念、そして、目の前にあるモノを楽しむことでその先に生まれる新たな価値の実感を、私にもたらしてくれました。

平成最後の夏と方々で言われた今夏。

『太平山 夏純米』と『Peaceful Mountain 純米酒』という二つのSAKEとの出会いは、そんな印象的な夏の思い出の一つとして、これから先も長く深く記憶に残りそうです。