年末年始のパーティにおすすめの“SAKEスワップ”

Written by KJ Sakura
Translated by Saki Kimura

冬に飲むワインといえば、やっぱりボジョレー・ヌーヴォー? 大晦日はシュワシュワするお酒でお祝いしたい?
とはいえ、毎年、同じようなものばっかり飲んでは飽き飽きしてしまうもの──ホリデーシーズンの6週間のあいだ、人類はいったい一人あたり何杯のエッグノッグとマルドワインを飲めるものなんでしょう?


ご安心ください。あなたのそんな苦しみを和らげるために、私はここにいます。今回は“SAKEスワップ”──年末年始の定番酒の代わりに楽しめるSAKEをご紹介しちゃいます!

※マルドワイン:スパイスやフルーツを合わせたホットワイン

 

ナチュラルワイン → 「玉川 山廃純米 無濾過生原酒 白ラベル」木下酒造@京都)
ナチュラルワイン愛好家がSAKEに求める回答ともいうべき一本。お米・水・麹・酵母しか使っていない「純米」で、炭濾過をしないことで本来の味わい・色合いを残した「無濾過」で、火入れをしていない「生酒」で、加水していない「原酒」──SAKEは通常15〜16%程度に加水されるんですが、このSAKEはアルコール度数が22%もあるんです! 山廃造りおよび常温熟成によるインパクト抜群のフレーバーをご堪能あれ。 

シャンパン/スパークリングワイン → 「千代むすび SORAH」千代むすび酒造@鳥取)
プレミアムなSAKEの中でも歴史が若いスパークリング。その中でも優勝者と呼べるのが、このシャンパンのようなボトルに閉じ込められた美しい泡酒。瓶内二次発酵のためボトルの中には残留糖があるはずなのに、甘味を感じさせないのはまさにSAKE界のブリュット(極辛口)。フルーツとお米のアロマたっぷりのドライなスパークリングSAKE、ハウスシャンパンやスッキリ系のプロセッコの代わりに試してみては?

ボジョレー・ヌーヴォー → 「真澄 純米吟醸 ひやおろし」宮坂醸造@長野)
別にボジョレー・ヌーヴォーのような味わいがするというわけではないんですが、コンセプトには似たものがあります。SAKEの歴史の中で、主に春と秋の季節限定で醸造されてきた生酒。そのうち秋の「ひやおろし」とは、一回火入れののち数カ月の熟成を経た「生詰め」のお酒です。「真澄 純米吟醸 ひやおろし」は、シナモンやクリーム、柿、梨などのアロマが香る絶品の秋酒です!

ホット・バタード・ラム → 「剣菱 黒松 本醸造」剣菱酒造@兵庫)
「剣菱」は現存する最古のSAKEブランドのひとつで、1505年から受け継がれるそのテクニックにより、絶妙なバランスのお酒を造り続けています。豊富な旨味、複雑さ、厚み、シルクのようなテクスチャーの向こうから顔を覗かせる、ほのかな甘み。そしてカカオニブやメープルのようなアロマが、その味わいを完成させるのです。すべての温度帯で楽しめるSAKEで、温めればホット・バタード・ラムのような芳醇さと甘み、アルコール感が楽しめることでしょう。

エッグノッグ → 「Murai Family Genshu “Peach River”」桃川酒造@青森 ※Murai Familyは桃川酒造の輸出ブランド)
クリームいっぱいのカクテルに代わるのは、このハイオクなにごり酒。たっぷりの酒粕が演出する舌触りと色合いは、まるでエッグノッグ。お米由来のほんのりとした甘味が、19.9%という強烈なアルコール度数と複雑なフレーバーのバランスを保ちます。ビギナー向けだといわれがちなにごり酒ですが、私がいつでもカムバックしたいと思える一本です!

 グリューワイン(マルドワイン) → 「吟香梅 般若刀」一本義久保本店@福井)
梅酒というのは甘味が強く、一本空けてしまえるものにはそうお目にかかれないんですが、こちらの「吟香梅 般若刀」は例外。たっぷりの唐辛子が、梅の甘味を中和してくれるからです。ミルクで辛さを和らげる人もいると聞きますが、そんな必要はありません。キンキンに冷やして、マルドワインのクローブや八角そっくりなスパイシーさを楽しんで!

 ベルモット → 「伊根満開」(向井酒造@京都)
パーティ・シーズンのアルコール界のスノッブといえばベルモット。よいブランドのアイテムをゲットしたり、一から手づくりしたりすれば、家中はよい香りに包まれ、パーティのヒーローになれることでしょう。さらにマニアックで洗練されたルートを選ぶなら、贅沢で濃密なフレーバーの赤米酒「伊根満開」へダイブ! このSAKEは、アルコール度数14%なのに実は原酒。つまりその強いフレーバーと糖分を残すため、早い段階で発酵が止められたということです。その結果がこの、ドライチェリー、オレンジの皮、ベーコンの脂を思わせるスモーキーな味わいが溶け込んだ美酒なんです! 白ワインのように冷やして、リースリング用のグラスかタンブラーで飲むのがオススメ。

 スパイク・パンチ(フルーツポンチ風カクテル) → 「一ノ蔵 ひめぜん」一ノ蔵@宮城)
このガーリーなSAKEは、その名から想像できるすべての要素──レモネードやストロベリーを思わせるすばらしくフルーティなアロマ、8%という低アルコール度数、やわらかく官能的なテクスチャーと余韻──を持っています。これ、アルコール入ってるのかな? なんて不思議に思いながら飲み進めていると、最後にしっかり入っていたことに気づくわけです──たぶん、イスから立ち上がろうとしたときに。このお姫さまとあまりイチャイチャしすぎないように!

ドライなシードル/ソーヴィニョン・ブラン → 「竹の露 白露垂珠 純米大吟醸」竹の露酒造場@山形)
みずみずしさが魅力のこのSAKEは、青リンゴやハーブ、梨を思わせるさわやかなアロマと、ドライでミネラル感のある余韻を備えています。そう、シードルの双子の妹! さらにシードルファンにとって重要なのは、このお酒もばっちりグルテン・フリーだということです。そのアロマの香り高さは、アメリカやニュージーランドといったニューワールドのソーヴィニョン・ブランを思わせます。

 ポートワイン/シェリー → 「華鳩 貴醸酒」榎酒造@広島)
冬の日を締めくくるのに、これ以上によい寝酒はありません。貴醸酒とは良質な酒精強化ワインのように、一定の仕込み水の代わりにSAKEが用い、熟成したもの。ドライフルーツやシガー、焦がしたナッツのようアロマを持ち、旨みとともにフィニッシュしてゆきます。

ホットココア → 「ふなぐち菊水一番しぼり 吟醸 生原酒 熟成」菊水酒造@新潟)
このSAKEはもちろんチョコレートが入っているわけではないんですが、はっきりとカカオニブのような風味があり、残留糖がそれに甘みをプラスしています。冷やして飲むものですが、19%というアルコール度数がホットココアのように体を温めてくれるでしょう!



ご紹介したSAKEのほとんどは、アメリカ初のSAKE専門店でいまだ国内随一の品ぞろえを誇るTrue SakeのWEBサイトからも購入することができます。
年末年始、自宅でのパーティを“日出づる島”へのグルメな旅に変身させるため、ぜひともSAKEスワップにチャレンジしてみてください! それでは
乾杯、そしてよいお年を!